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大阪地方裁判所 昭和46年(行ク)14号 決定

原告(申立人)

佐藤嘉美雄

右訴訟代理人弁護士

吉田恒俊

被告(相手方)

天王寺税務署長

岡部俊雄

右指定代理人

渡辺丸夫

外五名

右当事者間の昭和四二年(行ウ)第八四号所得税更正決定取消請求事件について、原告から文書提出申立があつたので、当裁判所は、被告の意見をきいたうえ、次のとおり決定する。

主文

本件文書提出申立を却下する。

理由

申立人は、「被告は、原告のため、原告の昭和四〇年分の所得税調査書を提出せよ。」との裁判を求め、その理由として右所得税調査書は、民事訴訟法第三一二条第二号に該当し、当初調査についての係官の話と更正決定金額とが相違しているので、当初の調査決果を知る必要があるため、文書の所持者たる被告に対し右文書提出命令を求めるため、右申立に及ぶと述べた。

しかし、同条第二号は、挙証者(原告)が文書の所持者(被告)に対しその引受又は閲覧を求めうる法律上の権利を有する場合の文書提出義務を規定しているところ、原告が法律上かかる権利を有するとは認められないから、原告の本件申立は不適法であり、却下を免れない。

よつて主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 日野達蔵 裁判官 辰巳和男 裁判官 仙波厚)

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